もつれる舌の告白
9/2
上手く話せない事が恥ずかしくて、しばらく会話を避けていた。久しぶりに調子がいいぞ、今日は喋ることが出来そうだ!となり、友人とお茶をする。以前より口は動いたが、頭と口が追いつかず、会話をさぼっている人だと思われていないか不安だった。
私は何を言われても理解できなくて、何を言っても伝わらないのだ。人の気持ちを察する事も出来ない。人と繋がりたくて、仲良くなりたくて、1人では寂しいのに1人でしか居られない。自分の本当の気持ちを言葉にして伝えられない。言えば言うほど本当の気持ちから遠ざかる。誤解だよ、と説明する事も出来ない。今まで私の言う事が伝わらない事も、言っている意味がわからない事も、相手のせいにしていた。私は悪くない。でも本当は私のせいだった。言葉はたくさん持っているのに、相手に伝わらない。孤独だ。本を読む事も最近は難しい。頭に入ってこない。LINEで簡単な連絡をするのも大変な事だ。
自分だけが自分の心、気持ち、感情を知っている。これを伝える事が出来たら、私の心は安らぐようになる。でも出来ない。考えるのも、これが限界だ。もっと人と仲良くなりたい。愛して愛されたい。人を大切に思いたい。どうやったらいいのか、私にはとても難しいことだ。
このまま一生、人と関わらずに生きたい。でも、本当は人と居たくて仕方ない。寂しいのは嫌だ。ここに居させてくれ。頭と心と体がバラバラになる前に書いておく。愛とか知らない、持っていないなんて言いふらしてごめん。私は人からたくさんの愛情をもらい育った。これは当たり前の事ではなかった。貰えて当然ではない。無償の愛ではない。努力しなければ貰えないのだ。私頑張るよ、愛する事が出来るように。でも上手く出来なくてごめん。頭が良く無くてごめん。
どんな事を言われても私はあなた、あなた達のことが好きだよ。死んでしまいたい気持ちに常に支配されながらも、死んだりしないのはあなた達のおかげだ。私はあなた達に返せるものなんて持ってないよ。長い人生のところどころを一緒に過ごして、泣いたり笑ったりするだけでは足りないかな?たまに喧嘩して、気まずい仲直りをしたいよ。私はそれが一番幸せなことだと思っている。
でも全く伝わってないよね。伝える努力を怠っていた。馬鹿でごめん。伝えれなくてごめん。これ以上何かを言ったら嘘になるから、ここでやめるね。愛している、よく眠れているといい。
私は自分の頭の中がごちゃごちゃで、どうしようもなくなり、伝わらないけれど書いて残したかった。必死で格好が悪くても、大切な事だと思った。
9/5
こんなに元気なのに、気持ちが全く落ち着かない。何の意味もわからないし、目の前に人がいるのに、言葉が出てこない。
感覚だけで生きてきたのに、たった一つの大切なものを失った気分だ。返してくれ、私にはこれしかないんだ。今となっては元々持っていたかどうかも怪しい。徒手空拳で生きてきて、人に助けられていたのを、自分の実力だと勘違いしていたのだ。どうやって人と関わればいいか分からなくなった。人を傷つけていないか、怖くて仕方がない。
9/6
本も読めず、映画も観れず、倒れるように寝て殴られたように起きる。
私は楽しいが、みんなは楽しくなかったらどうしよう。私に付き合ってくれているだけなのかもしれない。顔の痙攣が止まらず、指が突っ張ったまま戻らず。友達の顔を見て泣いてしまう。今回は駄目かもしれない。自分が足元から崩壊していくのを感じる。
9/26
生活に文字が戻ってくる。戻って来たら読もうと積んでいた本を読み始める。前は何でもすらすら読めて頭に入ってきたのに、最近はとても難しい。目で文字を追えない。意味が理解出来るまで時間がかかる。とりあえず文字を頭に入れ、読書を休憩し、他の事をしながら考える。突然理解出来る時もあるが、大抵は分からず終いなので、また同じ箇所を読み頭に入れる。これを繰り返して読み進めている。文字が読めないと本が読めず、字が書けず、加えて口が重たくなった。映画も、眩しくて観れなかった。(壁に映写しているのに!)
仕事以外の時間は元々ほとんど無かったが、何をしても楽しめないので何もやらなくかった。毎日10時間寝て、1時間入浴し、夜眠る前に窓を開け放し、空気のにおいをかぎ、夜の街から聞こえてくる音を聞いた。暗闇に浮かぶ住宅街の屋根を眺めながら、必死に願った。明日は少し体調が良くなっていてほしい。朝起きたら、楽しいと思える気持ちに戻っていて欲しい。
10時間一度も目覚めずに眠る。起きると光量の多い朝になっている。変わらず気分が塞いだままだ。突然良くなると、その日死ぬ確率が高くなるらしい。だとしたらこの、安定して落ち込んでいる状態はそれほど悪くないのかもしれない。
9/27
体の芯から冷えてガクガクと震える。何かが怖くて仕方ない。寂しい、でも寂しさを埋めるために誰かと居るのは嫌だ。私がそうされたら傷つくから。一時的な感情なのだろうか。ひと月続いたら相談してみよう。でももしかしたらずっと前から駄目になっていたのかもしれない。
虚無の姿でうろつく自分を想像して、怖くなる。人との距離感や思いやりを欠如したままで生きていけるわけがない。今とてもつらい。自分が大切におもっている人達がどんどん離れていく。恐ろしいのは、自分を正当化するための言葉がたくさん出てくるのだ。その人達に愛の言葉についてはひとつも言えないのに。
今までの自分とは全く違う人間になってしまった。なりたくてなったわけじゃない、でもこれが今の自分自身だ。もう二度とこんな思いをしないために、人と関わるのはやめよう。という気持ちと、それでも人を好きになりたい、好きになってほしいという気持ちの二つが存在している。そしてその事により自分を保っていられる。
